岡山市の街なかに佇む、上質な和のしつらいで表現する「もてなしの住まい。」

敷地は住宅地の密集した環境で、高い建物が迫る南側を平屋部分で閉じ、東の中庭から光を入れる工夫をする。

北側に沿って緩やかに下る敷地に床面をスキップフロアで1段下げ、高さを抑えた安定感のある外観に。

【玄関ホール】

玄関に隣接したゲストルームと天井を繋げ、一体感を持たせた。

内装は土壁色でおとなしく仕上げ、アプローチから続くタイルを主張させた。

丸窓から障子越しに入る光でより明るい玄関。

下駄箱の建具はあえて古い板戸を意識。

モダンな中にも古風なデザインで古備前の壺とも相性が良い。

藍染ののれんをくぐると、一方は土間収納、一方はお客様用のレストルームへと続く。

障子越しの丸窓から淡い光の入る玄関、ケヤキの板と舞良戸の下駄箱と松の縁甲板を張った小空間は客人を迎え入れる空気が満ちる。

【大工の手仕事で造った囲炉裏】

天板を外すと炭が焚けるように炉が切ってある。

台座に貼った板は栗の古材を利用するなど随所に職人の技術とこだわりが見える。

この家を友人知人が和やかに集える場にしたいとの要望に応えるため、玄関の続きに設けた「囲炉裏の間」では、気心知れた仲間たちとのくつろぎの空間とした。

【建具を開け放つと一続きの大空間】

中庭から和室まで全てが見渡せる。

各部屋に隣接する中庭は、緑を介して季節を感じられる。

大きな高窓からは光がたっぷり。

東に向いているので夏場の暑い陽射しではなく明るさのみ取り込める。

中庭を囲むように配置されたリビングにはケヤキの大黒柱を中心に木製建具がはしり、内と外が一体につながり光と風が抜けていく機能性も持たせた。

開かれた集いの空間と日常を営む家族の空間。

伝統とモダンの緩やかな融合した住まいは、いつまでも色あせない。